活動報告

今、不登校をふりかえって〜子供の視点と親の視点〜❶

2016/03/25

今回から数回にわたって、ある生徒さんと、そのお母様のインタビュー記事を掲載します。

 

中野太郎(仮名)さんは約7年前に高校を休学し中退。おととし、高校認定試験に合格した後、今年1月のセンター試験を受験し、神奈川県の大学に合格されました。みんなの家庭教師では、約7年近くの間、ほぼ週に一回、中野さんとお会いして様々な話を伺ってきました。神奈川県へ旅立つ前に、これまでの過程を振り返りながら、中野さん御自身が、「今、不登校について思うこと」を話して頂きました。

 

 
ーー学校に通えなくなったきっかけを話して頂けますか?

 

中野さん  もともと緊張しいな性格で、先輩や先生の前で気を使いすぎることが多かったんです。中学の時、勉強は出来たほうでした。塾に行っていましたが、大きなストレスになっていたように感じます。頭痛に悩まされた時期もありました。進学校に入り、そのストレスはさらに大きくなりました。不登校になった原因の一つは、数学の先生が苦手だったことです。今思うと、実際その先生に何かを言われたわけじゃなかったのですが、クラスメイトが怒られるのを目の当たりにして、ビクビクしてしまい、自分が怒られたように感じていました。

 

 

ーーそれも大きなストレスになっていたのですか?

 

中野さん   はい、そうです。それだけが理由ではありませんが、徐々に学校に通いづらくなった理由の一つだと思います。

 

 

ーー学校に通えなくなった時、支えになったものはありますか?

 

中野さん  ゲームやアメリカンフットボール、バスケットボールです。アメフトやバスケのスポーツ中継は、母と一緒に観ることが多かったです。最初、母はルールを知らなかったので、僕が説明しました。スポーツ観戦を通して、母に話を聴いてもらえたように思います。今振り返ると、自分一人だけでなく、母と二人で観たことに意味があったように思います。

 

 

ーーゲームも好きだったんですか?

 

中野さん  ネットゲームもやりました。ときどき、学校に行かずにゲームをやっている自分自身を客観的に見て、「オレ、なにやってんだろう」と、気にしてしまうことはありました。その時に、ゲームを通じてですが、身元を明かさずに他者と交流できたことで、完全に引きこもっていない感覚を保てました。ネットゲームの中ですが、外部との接点を持つことができたので、そこは良かったと思います。

 

 

ーー学校に通えなくなった当時、親にしてもらって良かったこと、嬉しかったことは何ですか?

 

中野さん 学校に行けなくなった時に、次のことをせっつかれなかったというか、次どうするかを催促されなかったのは、非常にありがたかったですね。

 

 

ーーそっとしてもらえたということですか?

 

中野さん  そうですね。おそらく親は、心の中では、いろいろな思いはあったのだろうと思いますが。あと、母の知り合いで、不登校になっている子供さんの話を通して、僕にいろいろ聞いてきたことがありました。その不登校の子供さんの状況をひと通り説明したあとに、「あんたなら、どう思う?」「その子供さんは何が嫌なんかね?」などと質問されました。僕は、その質問に対し、その子供さんの身になって答えたのですが、その時に頭の中が整理されて、自分自身の中で「気付き」があったように思いました。

 

 

ーーつまり、他の子供さんの話を通して、客観的に考え、思考の整理ができたということでしょうか?

 

中野さん  そんな感じでした。自分のことではなく、他の子供さんの話だったせいか、冷静になって考えられたのだと思います。結果的に、とても良かったと思います。

 
次回へ続く。

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