活動報告

ひきこもりを越えて❸

2018/09/02

前回に引き続き、「ひきこもりを越えて」シリーズの第3回目。

 

今回登場される坂本茂樹さんには、ある親の会で数回お会いしたことがあります。とても明るくエネルギッシュで、周りの人たちを笑顔にするような方だという印象を受けました。

 

以下は、掲載された記事全文を抜粋しました。

 

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2018年8月26日 読売新聞 朝刊より

 

 

親の変化 子を前向きに

 

⬛︎家族写真 飾る

 

夏休みまっただ中の今月4日。金沢市北袋町の金沢湯涌創作の森で開かれた子ども向けのイベント「第5回 宝島フェス」は、好天に恵まれ、多くの親子連れでにぎわった。

 

ヨーヨーすくい、スタンプラリー、和太鼓の演奏などに子どもたちは笑顔を見せる。企画した坂本茂樹さん(54)は、手作りのクイズ形式のゲームで遊ぶ子どもたちに「よくわかったね、すごいね」と声をかけ、終始ニコニコしていた。

 

一見、子ども向けの企画に見えるが、実は隠れたテーマが設定されている。坂本さんは「両親が仲良くなることで親子関係も良くなる。両親のための企画でもある」と説明する。会場では、その場で撮影した家族写真を印刷するブースを設けて写真を配布。それを家に飾ってもらい、家族の思い出を両親が忘れないようにしてもらう。

 

ひきこもりや不登校の改善には、本人と共に両親の変化が欠かせないーー。それが坂本さんの考えだ。

 

 

⬛︎お父さんに感謝

 

坂本さんはかつて電機メーカーで勤務していたが、脱サラして飲食店の経営を決意。安定した収入を捨てることに妻と口論となり、2002年に離婚した。

 

当時小学5年の長男(27)がひきこもったのは、その直後だった。原因は自分たちの離婚だとわかっていたが、「なぜ学校へ行かないのか」としかりつけた。離婚直後で精神的に不安定なことも相まって、「小さなことで息子を延々と怒ったうえ、時には手も出してしまった」と悔やむ。

 

その後、再就職した職場でうつ病の社員の多さに気づくと、心のケアに関心を持ち精神科医が開くセミナーに通った。そこで自らが癒やされ、精神的に落ち着くようになった。長男に優しく接することができ、会話が増えた。「自分は他人と話をするのが怖い」。長男のそんな言葉に「それなら、学校に通わなくてもよいから一緒にがんばろう」と応じた。

 

5年半ひきこもった長男は、苦手な人付き合いを克服するため飲食店やコンビニ店でアルバイトを始めた。20歳で大学に進学し、今では東京で働き、近く結婚する女性も見つけた。長男は「お父さんが変わって、自分も前向きになり、行動することができた。父には感謝している」と振り返る。

 

金沢市西念の「ひろメンタルクリニック」の奥田宏医師は「本人以上に両親のケアが必要な場合がある。坂本さん親子は、それがうまくいった良い例だ」と語る。奥田医師によると、厳しい父の態度が変わり、ひきこもりの息子が父の会社で働き始めるなどの例がいくつかあるという。

 

坂本さんは2010年から、親子関係の相談にのり始めた。これまで相談に訪れた家族は1000組を超える。長男も「多くの家族を手助けしてほしい」とエールを送る。

 

坂本さんへの相談は、「ほんわか寺子屋」(090・9446・5558)へ。

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