活動報告

ひきこもりを越えて❷

2018/08/30

先日ご紹介した「ひきこもりを越えて」シリーズの第2弾です。

 

以下は、掲載された記事全文を抜粋しました。

 

B85A9050-B96E-436C-8687-1BF19C305FDD

2018年8月25日 読売新聞 朝刊より

 

 

過疎地就労 地域支える

 

⬛︎農家の高齢化

 

白山市の山あいに位置し、黄金色の稲穂が広がる鳥越地区。強い日差しが照りつける今月23日、田んぼの周囲の草刈りに精を出す3人の青年の姿があった。黒く日焼けした、20歳代から30歳代の3人は、いずれも元ひきこもりたちだ。

 

3人は、ひきこもりを抜け出そうとする人が集う鳥越地区内のシェアハウスに住む。ハウスで4年生活する藤井一輝さん(22)は、今では草刈り機を操るのはお手のもので、みるみる雑草を刈り取っていく。「しんどいけど、やりがいを感じます」と、作業の合間に爽やかな笑顔を見せた。

 

鳥越地区では若者が減少し、農家の高齢化が深刻化している。約5年前から、シェアハウスに住む元ひきこもりたちが、田んぼの草刈りや防除作業を請け負っている。依頼した鳥越地区に住む農業大西光宏さん(54)は「一輝君たちの力がないと、田んぼを管理できない。非常に助けられている」と喜ぶ。

 

この田んぼから車で10分ほど離れた場所に、古民家を利用したシェアハウスがある。この場で4人が生活し、各自の部屋や共用スペースが設けられている。

 

4人とも就労し、午後5時を過ぎた頃に全員が帰宅する。夕ご飯は皆が協力して作り、この日のメニューは、管理人の西野雄人さん(30)のお得意のカレーライスだ。米やジャガイモなどの食材は地域からのもらいものが中心。藤井さんは「ひきこもりから抜け出した今、仕事終わりの飯のおいしさに気がつけたのが一番うれしい」と語る。

 

 

⬛︎一人暮らしは不安

 

藤井さんは高校1年でクラスになじめず、その年の秋から約2年半ひきこもった。毎日ゲームやマンガ三昧だったが、18歳になって「このままじゃダメだ。何とかしないと」と焦りが募り、部屋から出る決意をした。

 

とは言っても、進学や就労する自信はなかった。自宅にいると、再び部屋にひきこもってしまいそうで、シェアハウスでの生活を選んだ。今後はトラクターの運転免許の取得など、農業に本格的に関わるつもりだ。

 

シェアハウスを運営するNPO法人「ワンネススクール」の森要作代表(55)は「一人暮らしは不安で、自宅暮らしはひきこもりに戻る心配がある人のためにこの場がある」と語る。元ひきこもりは共同生活を通して、他者とのコミュニケーションを学び、社会へ巣立っていく。

 

一方で、この集落にとって元ひきこもりは、数少ない若者だ。農業だけでなく、祭りの準備、消防団の活動、雪下ろしなども手伝う。来月にも集落の祭りがあり、神輿の準備を任せられている。かつて、社会から孤立した青年たちが過疎化が進む集落を支えている。

メイクフレンズ

カテゴリー別アーカイブ

通信制高校サポート校 リモート家庭教師 吐露カフェ メイクフレンズ みんなの家庭教師とは みんなのQ&A