活動報告

さかなクンからのメッセージ

2016/10/27

以下は、2006年に朝日新聞にて掲載された、「いじめられている君へ」というコラムの一編で、さかなクンが書いた「広い海へ出てみよう」というタイトルの文章です。

 

先日、不登校を経験した生徒が、この文章をLINEで送信してくれました。「もっと多くの人に知って欲しい」とのことでした。とても心に響く素敵な文章です。「さかなクンのような人間がもっといれば」と思うと同時に、「学校という小さな世界以外に、実は広い大きな世界が存在するんだ」ということを、現在不登校で苦しんでいる生徒さんに知って頂きたいと強く思いました。

 

 

「中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなった時がありました。いばっていた先輩が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけが分かりませんでした。

 

でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。

 

広い海の中なら、こんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所に住み、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

 

中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」と聞けませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よく魚つりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸を垂れているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話を聞いてあげたり、励ましたりできなかったけれど、誰かが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。

 

僕は変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友達ができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう」

 

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