活動報告

不登校 Q&A

2016/04/22

【不登校について】

 

1.「不登校とはどのような状態を言うのですか?」

 

文部科学省は「不登校」をこのように定義しています。

 

「年間30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的な理由を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者」

 

すなわち、月3日以上、はっきりした理由もなく欠席がある場合に、この定義があてまると言えます。

 

 

2.「現在、不登校の子供はどのくらいいるのですか?」

 

2015年8月に発表された文部科学省の学校基本調査によると、不登校の小中学生は2014年度、合計12万2902人となっています。小学生は255人に1人、中学生は36人に1人の計算になります。日本全体の小中学生の数は減少しているにもかかわらず、不登校の生徒数は増加しています。

 

 

3.「なぜ不登校になるのでしょうか?」

 

不登校になる理由は百者百様です。一般的には、学校へ通うことに不安や恐れがあり、それらが大きくなると身体的・精神的に疲れ果ててしまい、頭痛や腹痛、発熱や嘔吐などの症状が表れます。その結果として、学校に通えなくなります。不登校になった生徒の特徴として、「感受性が強く敏感な人」や「責任感が強く真面目な人」が多いと言われています。

 

 

4「『不登校』 と『ひきこもり』はどう違うのですか?」

 

厚生労働省は「ひきこもり」をこのように定義しています。

 

「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」

 

したがって、中高生でも上記のような状態であれば、「ひきこもり」と言えることになります。

 

 

 

【親はどうすればいい?】

 

5.「学校に行ったり行かなかったりしますが、どう対応すればいいでしょうか?」

 

前日の夜、「明日は学校へ行くよ」と親に約束します。でも、朝になると学校に通えないことがよくあります。約束しても、心と体が一致しないのです。学校に通ったり通わなかったりしている状態は、子供にとって「学校に通わなければならない」と、自分の辛さを我慢している一番しんどい状態だと言えます。毎日通い続けるエネルギーがないのです。「無理して毎日通い続けると、心や体が壊れてしまう」と無意識的に自分を守るための機能が働いているのです。さらに、不安や恐れが増大すると、腹痛や頭痛、発熱などの症状が体に表れ始めます。その結果として、学校に通えなくなります。

 

「甘やかしたら休み癖がつく」「逃げるのではなく、それを乗り越える力をつけよう」と周囲の大人は考えたり言ったりします。しかし、子供はすでに疲れており頑張れない状態です。乗り越える力をつけさせることも大切ですが、疲れたら休ませることも大切です。子供たちには、それぞれ自分のペースがあります。しっかりと休むことができれば、子供は自分のペースを見つけることができるでしょう。

 

子供への言葉がけとしては、「毎日学校に通うのは本当にしんどいよね、苦しかったら休んでもいいんだよ」と子供の気持ちに共感したうえで、休むことを提案します。自分の気持ちに共感され、休む選択肢を提案されることは、子供にとって安心する言葉がけになります。

 

 

6.「このままずっと学校を休んでいて大丈夫でしょうか?こんな状態が続くなんて正直耐えられません。つい、子供に不満を言いたくなってしまいます。どうすればいいでしょうか?」

 

確かに親御さんの不安な気持ちは自然だと思います。ここで、第一に考える必要があるのは、子供の気持ちです。学校に通えない状態で思い悩んでいる、子供の気持ちに寄り添うことが一番大切です。当然ながら、子供が回復し学校に復帰すれば、親御さんの悩みも解消されます。親御さんが不安定な状態では、子供は安心して休むことができず回復できません。周囲からは部屋で休んでいるように見えても、緊張した状態が続いているので、休めてはいないのです。

 

まず、気づかなければならないことは、不登校は子供の問題だということです。いつの間にか子供の問題を親の問題としてとらえてしまうと、子供に何かを言いたくなる気持ちが発生します。親の問題は、何でしょうか?子供が学校に行かないことで発生するであろう将来への不安、勉強の遅れや社会性の低下に対する恐れなどではないでしょうか?これらに関しては、別の場所で相談するべき問題と考えてください。

 

例えば、「不登校の親の会」に出向いて、これらの問題に対する不安や恐れを緩和することは可能です。親の会には、過去に悩んだ経験をされた親御さんもいらっしゃいます。彼らに話を聴いてもらい、まずは親御さん自身の不安を緩和し前向きになられることを考えてみてください。それは、子供の気持ちに寄り添ううえで非常に有効な方法です。親が安定することは、子供が安定することにつながります。決して一人で不安を抱え込まず、定期的にゆっくり話を聴いてもらえる場所を見つけてください。

 

 

7.「子供の気持ちに寄り添いたいと思っています。でも、学校を休んで、ずっとマンガやアニメの動画、ネットゲームばっかりしている姿を見ると、なかなか寄り添う気持ちになれません。早く学校に行って欲しいと思ってしまいます」

 

不登校を経験された方の講演会に行くと、「当時、ゲームをしたくてやっていたのではない。辛い状況を感じないようにするためにゲームをしていた」という話をよく聞きます。楽しんでゲームをしていたのではないと聞くと、多くの親御さんは意外に思われるかもしれません。でも、本当に辛い状態が続くと、人間は何かに頼らないと生きていけないのではないでしょうか。

 

これはある親御さんの話です。

「二十年近く前に、主人の仕事の都合で私はニューヨークに住んでいました。当時私は全く英語が理解できず、外出中に英語で話しかけられると頭が真っ白になりました。その状況に大変大きなストレスを感じていました。そんな時に、日本から持ってきた好きなマンガを読むことが、自分にとっての大きな支えでした。辛い状況を感じないようにするために、当時の私にとって日本のマンガが必要だったのです。だから、子供の心が回復するために支えになる存在が、ゲームやアニメであることはよく理解できます」

 

ゲームやアニメをしている子供の外側だけを見ずに、その内側にある気持ちを想像してみてください。まずは子供の視点に立つことが、子供の気持ちに寄り添うことにつながります。

 

 

8.「勉強が遅れることが心配です。少しでもいいので、自宅学習して欲しいのですが。。。」

 

確かに、学校に通っていないので、短期的に学力不足になることは否定できません。受験までの時間を意識して焦ってしまう気持ちは理解できます。どうしても、短期的な視点でとらえたり他の生徒と比較してしまうと、不安になりやすいと思います。

 

一方で、学力をつけることに関して、長期的に考えてみてはいかがでしょうか?長い人生で、1年や2年遅れたとしても、それほど大きな影響はないでしょう。逆に、この1年や2年が、子供にとって本当に好きなことを見つけるための大切な期間になる可能性も十分にあります。親御さんが、子供の気持ちに寄り添うことで、それを発見するための手助けになれる存在であったら、本当に素敵なことです。

 

例えば、もし将来的に大学に進学するとして、何となく進学するより本当にやりたいことを見つけて進学したほうが、充実した大学生活を送れるでしょう。今、無理に学力をつけさせることを考えるより、将来を見据えるための大切な充電期間として考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

9.「学校に行かなくなったことで、友達との接点がなくなってしまいました。このままずっと家にいると、社会性が低下してしまうのではと心配です」

 

学校に行かなくなり、友達との交流が少なくなったり無くなったりするのを間近で見ると、とても不安になる気持ちは理解できます。でも、親御さんが不安になる一方で、現時点での子供の状態にとっては必要な環境です。なぜなら、しんどい学校生活を離れて一人ゆっくりと過ごす時間も、回復するために必要だからです。

 

また、社会性を語るうえで、一番の土台になるのは「家庭」であると言われています。家庭内で、家族が互いを思いやり、その存在を認め合うことで、家族みんなが心休まる温かい家庭を築くことができます。それこそが、社会に出て組織で働くことになった時、求められる要素なのではないでしょうか。もし、不登校になったことで、家庭環境を見直し、お互いの存在を認め合う家族の強い信頼関係を作れたとしたら。。。それは十分に社会性が高まったことに等しいと思います。

 

ほとんどの場合において、適切に心が回復してきた段階で、第三者と関わろうとしたり、関わることが可能になる時期が訪れます。その適切な時期に、第三者として「みんなの家庭教師」が関わることも可能です。

 

 

10.「昼夜逆転の生活が1年以上続いています。そのうち元に戻るだろうと考えていましたが、さすがに長期間続いているので、最近気になってしまいます。学校に通えなくも、せめて規則正しい生活をして欲しいです」

 

確かに家族にとっては、昼夜逆転だと会話をする時間も限られますし、食事も一緒にできません。可能であれば、昼夜逆転だけでも改善してもらえたらと思うのは自然だと思います。

 

ところで、どうして不登校になった時に、昼夜逆転が多く起こるのでしょうか?経験者に聞いてみると、「多くの人達が活動している昼間は、何もしていない自分にとって、起きているだけで責められている気分になり、ひどく落ち込んでしまう」「夜中は、みんなが寝静まって、とても落ち着いた気持ちになるので生活しやすい」と言います。学校で非常に辛い体験をした彼らが、安心して休養をとるためには、「昼夜逆転をすること」が回復への大切な過程であることが理解できると思います。昼夜逆転を改善させようとするよりも、昼夜逆転をする意味を理解したうえで、子供の気持ちに寄り添う態度で接することが必要です。

 

ある不登校経験者は、「親から『昼夜逆転でもいいんじゃない。夜勤の仕事してる人はみんな昼夜逆転だよ』と言われた時、自分が認められたように感じて嬉しかった。一番心に響いた言葉でした」と言っています。

 

 

11.「ここ1か月近くの間、子供がお風呂に入ろうとしません。衛生的にも悪いので何とか入って欲しいです。どうすれば入るようになるでしょうか?」

 

過去にお風呂に入らなかった当事者に聞くと、「入るのが面倒くさかった」「入らなくても死ぬわけではないし困らなかった。だって家にいるだけだったから」 などと言います。つまり、お風呂に入らなくて困っているのは家族であり、当事者は全く困っていないのです。エネルギー不足の段階では、本人にとって必要性を感じないことに対するエネルギーはできるだけ使いたくないと無意識に判断しているようです。一方で、外出する必要性が出てきたりすると、お風呂に入ろうとする意識が芽生えます。

 

でも、一緒に住む家族はストレスが溜まります。そこで、親の会で話を聴いてもらったり、趣味を通して気分転換したり、とにかくストレスを溜め込まない工夫をしながら、子供の行動を待つ必要があります。

 

お風呂以外では、散髪をしない、爪を切らないなどがあります。基本的には、ある程度のエネルギーが溜まり、動き出したい気持ちが出てくると、外出したり人に会う機会があったりするので、自然と問題は解消されるようです。

 

 

12.「子供が暴力をふるうようになって困っています。どう対応すればよいか分かりません。昔はおとなしく暴れることは一度もなかったのにどうしてでしょうか?」

 

ある当事者が言っていました。「自分を理解してくれる人を殴ろうとは思わない」

 

暴力をふるうのは、必ず理由があります。今までおとなしく暴れなかったのは、我慢に我慢を重ねてきたからではないでしょうか。無理をして、自分自身を相当長い間、押し殺してきた結果、今の暴発につながっているのかもしれません。真面目で優しい人間ほど、良い子を演じる傾向があります。親御さん自身、そのことに関して思い当たる点はないでしょうか?

 

大切なことは、これまでの親子関係を冷静にふりかえることです。暴力の前に何があったのか?親の意思を子供に押し付けていなかったか?子供の気持ちを尊重していたか?

 

子供にとっても、本当は暴れたくないはずです。暴れた後に、冷静さを取り戻し後悔しているものです。暴れるのは、心の叫びであり、そうしないことには自分自身を保てなくなっているからです。まずは親子さん自身がそこに気づき、今後どんな親子関係を築いていきたいかを考えます。そして、子供に謝罪するところは謝罪し、子供を尊重し理解する姿勢を示したうえで、今後のことを話し合う必要があります。

 

どうしても身の危険を感じる場合は、一時的に安全な場所に避難したり、外部の専門機関に助けを求める方法をとってください。

 

 

13.「子供のために親ができる具体的な行動は何でしょうか?」

 

一つは、外部に積極的に出向いて相談を求めることです。金沢市・津幡町・小松市では、定期的に「不登校の親の会」(ホームページで詳細をご覧頂けます)が開催されています。現在悩んでいる親が、過去に悩んだ経験のある親に会って話を聴いてもらうことで、精神的に癒され前向きになることができます。親の精神面が充実すれば、子供の気持ちに寄り添う態度を保つことができます。

 

もう一つは、日記をつけて子供の様子を記録することです。ただ、子供をそっと見守るだけでなく、日記をつけて能動的に子供を見守ることで変化に気付きやすくなります。現在の問題点にも気付き、適切な対応をとることにもつながります。また、日記を書くことで「数ヶ月前と比較して、子供がこんなに回復してきた」と感じれば、気持ちを前向きに保つことができます。

 

 

14.「発達障害に関してです。保育園にいる頃から一人遊びが好きで、公園で遊ぶ機会があっても、みんなの輪の中に加わろうとはしませんでした。また、花火や滝の音などの大きな音が苦手でした。小学校での成績は良かったのですが、中学に入学後、しばらくして頭痛や腹痛を訴えて学校を休むようになりました。医療機関に相談したところ、『発達障害があり、集団生活が苦手なことが不登校になった原因の一つではないか』と伝えられました。確かに、小学校は規模が小さかったのですが、入学した中学校はマンモス校でした。今後、どのような対応をすればよいでしょうか?」

発達障害とは、子供の頃にあらわれる脳機能の発達の障害のことであり、いくつかのタイプがあります。不登校になる生徒の半数以上は、何らかの発達障害に関係しているとも言われています。

 

文部科学省の調査によると、特別支援学校や特別支援学級に在籍する生徒の割合は、小中学生全体の約3.3%。これとは別に、通常学級で学んでいるものの、指導に携わる複数の教員が「発達障害の可能性がある」と判断している生徒は約6.5%。両方合わせると、10%近くになり、およそ10人に1人が何らかの支援を必要としている現状があります。いまだに世間一般にはあまり知られていないかもしれませんが、非常に重く受けとめなければならない事実です。

 

発達障害の一つの特徴として、感覚が過敏で繊細であるがゆえに、集団生活である学校になじめない場合があります。その結果として、不登校になるケースがあります。発達障害の生徒さんをサポートするために周囲にできることは、「発達障害について知ろう」とする意識を持つことです。発達障害に関する知識に乏しいことが、多くの誤解を生み出す原因になります。

 

例えば、能力が高い生徒さんであっても、細かい所にこだわるがあまり、ペースが遅くなって「怠けている」と思われ、注意をされて傷つくことがあります。また、周囲とのコミュニケーションがうまくいかないために、自信をなくしてしまう生徒さんもいます。

 

発達障害についての知識を持つ人が増えれば、適切に対応できる場面も増えます。それが、生徒さんの自己肯定感の低下を防ぎ、不登校も防ぐことにつながります。発達障害は、個人要因だけでなく、社会環境(学校や地域)や養育環境の組み合わせで現れます。個人要因およそ40%に対して、環境要因およそ60%とも言われています。

 

今回の場合においては、今後の学校生活を考えるうえで、できるだけ規模の小さい学校やクラスで学ぶ環境を整えることが必要です。そのために、本人の承諾を得た上で、そのような学校へ転校することも一つの方法です。環境をきちんと整えることで、子供が持つ特性をさらに伸ばすことができるでしょう。

 

 

15.「長男が不登校です。最近、次男も時々ですが、学校に行くことを渋るようになってきました。次男からは、『お兄ちゃんは学校へ行かず、ゲームばっかりしてる』という言葉が聞かれます。今は何とかなだめて登校させていますが、いつか次男まで不登校になるのではと心配です」

 

長男の不登校が長期化した時点で、次男に対して兄が学校に行っていない状況を丁寧に説明する必要があります。兄は学校へ行きたくないわけではなく行きたくても行けないこと、ゲームをして楽しそうに見えても心の中は苦しい思いをしていること、現在は心が元気になるまで休養していること、家族みんなが兄をサポートする必要があることなどです。「兄は困っているから、家族みんなで応援しよう、あなたも協力してね」という姿勢で話すことが大切です。

 

さらに、次男には、「宿題がんばってるね、友達がたくさんいて幸せだね」と一緒に喜んであげてください。親が認めることで、きっと学校へ行く自分自身を肯定できるでしょう。「お兄ちゃんのようになってはダメだよ」「学校へ行かないと将来困るよ」と、長男や不登校を否定してはいけません。親がそのような姿勢で接すれば、弟は兄を馬鹿にするようになり、兄の心は回復するどころか心を閉ざし、家庭内暴力につながる恐れも出てきます。

 

 

16.「中学時代の大半を不登校で過ごした子供がいます。この春から全日制の高校に通うのですが、また不登校にならないかと非常に心配です」

 

今まで不登校が長かったのですから、心配になるのは自然です。親ができることは、高校側との連携を密にすることです。ぜひ一度時間をとってもらって、話をしておくのは非常に有効です。今までのことや、子供の気質や家庭の事情などを伝えてください。そして、今後について、些細な変化があれば互いに情報交換をする約束をしておけば、双方にとって安心だと思われます。可能であれば、スクールカウンセラーや養護教諭と話をしておいてもいいでしょう。

 

しかし、あまり心配しすぎるのもよくありません。援護射撃は最低限にしておくことが大切です。なぜなら、せっかくの子供の自立を妨げてしまう恐れがあるからです。子供が本来備えているはずの成長する力を信じることが、何よりも大切です。

 

 

17.「不登校になると、全日制高校を受験をしても合格するのは難しいのですか?特に、中学3年の出席状況が受験の合否に影響すると学校の先生から聞きました。それを聞くと、やはり焦ってしまいます」

 

学校の先生の立場上、登校させるための一つの刺激として、そのように言われるケースはよく耳にします。そのため、心の回復が十分に進んでいない生徒さんが焦って無理して登校した結果、再び通えなくなり、以前より心を閉ざしてしまうこともあります。親御さんも、担任の先生からこのように言われると不安になっても仕方ないでしょう。

 

実際のところ、石川県の場合では、私立高校に関しては、学力があればほぼ大丈夫だと言われています。不登校が合否に影響することはほぼないようです。ただし、非行や素行の悪さが原因で不登校になった場合は、不登校が問題というより、非行が問題で不合格になる場合はあるかもしれません。公立高校に関しては、比較的出願倍率の高い進学校など人気のある学校は、中学3年時の出席状況が合否に影響しやすいと言われています。また、それぞれの高校の先生方の判断によるところが大きいので、外部から分かりにくい部分もあります。

 

 

18.「中2の息子がいます。不登校になって1年4か月経過しました。一時期はひきこもりになっていました。その時と比較すると、一緒に買い物に出かけるようになり、少しずつ回復傾向にあるようです。でも、勉強はまったくしません。本人は「勉強したいけど、なかなかできないんだよね」と言います。単に逃げているだけのように、私からは見えます。『勉強したくてもできない』は本当なんですか?」

 
ひきこもり状態から外出できるまでに回復されて、本当に良かったですね。一つ良くなると、次の課題が見えてくるものです。「勉強したくてもできない」は本当です。確かに、外出するまでに回復してきているので、「勉強すればいいじゃない」と周囲は思うでしょう。

 

しかし、まだ勉強するためのエネルギーが不足していて、勉強したくてもできない状態ではないでしょうか。中3になり、進学を意識する頃に少しずつ動き出す可能性もあります。時機は強引には引き寄せることはできません。これまで通り、忍耐強く待つ姿勢が求められます。

 

勉強に対して前向きな態度や発言が少しずつ見られるようになれば、「家庭教師はどう?」などの提案を本人にするのも、勉強するきっかけ作りとして有効です。みんなの家庭教師では、LINEを通しての無料添削指導もおこなっておりますので、漢字や計算から少しずつ始めることが可能です。

 

 

19.「不登校になって1年半になる中3の息子がいます。私自身は、親の会に参加したり、書籍を読むなどして、不登校について勉強し息子の気持ちに寄り添うように努力してきました。ところが、父親が全く理解しようとしません。息子と顔を合わせるたびに、『いつまで学校に行かないつもりなんだ』と責めています。息子を『問題から目を背ける弱い人間』と決めつけており、私が息子の肩を持つと怒る有り様です。どうすればいいでしょうか?」

 

ある父親の言葉です。「自分の息子が不登校になったことを、父親として不甲斐なく、どうしても許せませんでした。人生ですから、良い時もあれば悪い時もあります。私自身、幾度も社会の荒波を乗り越えてきた自負があります。私の息子ですから、きっと乗り越えてくれると信じたかったのです。息子の不登校を認めることは、私の今までの人生を否定するようで、絶対に認めることはできませんでした」

 

第一に、心の底から憎くて息子さんを責める父親はいません。歯をくいしばって、一家の家計を支える父親の立場として、息子の将来を案じている心境を理解しようとすることが必要です。理解したうえで、家族間でできるだけ「ありがとう」を伝える回数を増やすことも非常に大切です。

 

第二に、そんな父親に対して、息子さんと一緒に過ごすことができる時間をつくってあげることが大切です。家族で外出したり、子供の趣味を一緒に楽しめるように配慮することで、少しずつ改善する道を探ってください。

 

第三に、可能であれば、親の会などに誘ってみましょう。もちろん、最初は抵抗を示すでしょう。でも、まず母親が親の会に参加して、その内容を話すうちに興味を示すかもしれません。親の会に来ている他の父親について話すことも効果的です。父親も家族以外の誰かに、不登校について話したい気持ちはあるはずです。

 

先ほどの父親の言葉の続きです。「親の会に参加した後、自分の考えを息子に押し付けていたことに気づきました。家族のために生きている私自身を、もっと認めて欲しかったのかもしれません。息子を一人の人間として、見ていませんでした。私にできて息子にできないこともあるし、息子にできて私にできないこともあります。息子を分かっているようで分かっていませんでした」

 

 
20.「息子は中学3年ですが、中学1年の秋から不登校になり、現在も学校には通っていません。『自分の子育てが間違っていたのか』と自分で自分を責める毎日です。正直言うと、毎日が非常に辛く、虚しさや挫折感でいっぱいです。周囲から責められるわけではないし、夫も優しく接してくれるのですが、自分で自分を責めてしまいます」

 

今まで頑張って真面目に子育てをしてきた人だからこそ、自分で自分を責めてしまいます。周囲から「自分を責めないでください」と言われても、責めてしまうでしょうし、不登校に関する書籍を読み「自分を責める必要はありません」という文章を目にしても、おそらく責めてしまうでしょう。

 

まずは、自分や家族だけで悩むのではなく、不登校の子供がいた親御さんに会って話を聴いてもらうことが必要です。過去に同じ経験をされた親御さんに会うことで、気持ちはずいぶんと楽になります。ホームページで紹介されている「親の会」に参加すれば、話を聴いてもらえるだけでなく、いろいろな方の経験談も聴くこともできるので勇気づけられます。

 

「親の会」に初めて行かれた親御さんの多くは、「自分以外にも不登校で悩む方がこんないるんだ」と驚かれます。そして、「もう少し早くここで話を聴いてもらえたら良かったなぁ」と言われる方も多くいらっしゃいます。

 

親の会から帰宅する時には、気持ちがいくらか前向きになっているでしょう。気持ちが前向きになれば、子供への接し方にゆとりが生まれ、今までと違う考え方をする余裕も生まれます。自分を責める気持ちも和らぐかもしれません。何度か「親の会」に行くことによって徐々に気持ちが安定してきますので、定期的に行かれることをお勧めします。

 

 

「不登校 Q&A」は随時更新していきます。

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